『モダン・アート,アメリカンー珠玉のフィリップス・コレクション』展

2011年9月28日(水)~12月12日(月)@国立新美術館

■展覧会概要

20世紀に入りヨーロッパの前衛美術に触れたアメリカは、第二次世界大戦後、抽象表現主義の登場によって国際的なモダン・アートの潮流に大きな影響 を与えるに至ります。その一方で、ありのままの対象をとらえたリアリズムの伝統は、アメリカ絵画の源流として、その黎明期より脈々と受け継がれてきました。そして、いかなる場合においても、果てしなく続く大自然の風景と、ニューヨークの摩天楼に代表される近代都市の景観は、そのいずれもがアメリカを象徴 するものとして、多くの作家に創作のインスピレーションを与え続けてきました。

本展では、アメリカ美術の優れた収蔵品で知られるフィリップス・コレクションから110点の作品を集め、19世紀後半からアメリカン・モダニズムの 時代を経て、ポロック、ロスコに代表される戦後のアメリカ絵画隆盛期にいたるアメリカ美術の軌跡をたどります。選りすぐられた作品の数々は、固有の風土と歴史の中で独自の表現を追求しつつ培われてきたアメリカ美術の多彩な魅力を伝えてくれることでしょう。

■アメリカ初の近代美術館、フィリップス・コレクション

首都ワシントンの中心地からほど近い、緑豊かな美しい住宅街の一角に建つフィリップス・コレクション。ニューヨーク近代美術館の開館に先立つこと8年、1921年にアメリカ初の近代美術館として一般公開されました。創設者のダンカン・フィリップス(1886~1966)は、鉄鋼会社の創業者を祖父に裕福な家庭に生まれ、大学在学中に美術への関心を深めます。卒業後は美術評論活動をおこなう一方、妻マージョリー(1894~1985)とともに美術作品の収集にも努めました。

1918年に相次いで亡くなった父と兄を追悼するため、1920年にフィリップス記念ギャラリーを設立、翌年に自邸で一般公開したのが同コレクションの始まりです。237点の絵画から始まった収蔵作品は、現在では3千点近くに及んでいます。

ルノワールの代表作のひとつ《舟遊びの昼食》をはじめ、西欧近代を中心とする優れた作品群で知られる同コレクションは、その一方で、当時まだ評価の定まっていなかった同時代のアメリカ人作家の作品を積極的に購入し、ジョン・マリンやエドワード・ホッパー、スチュアート・デイヴィスら、後にアメリカの代表的作家として認められた若い芸術家を支援したことでも知られます。優れた審美眼によって集められた作品の数々は、アメリカ美術の至宝として今日高い評価を得ています。